市民の役割「何を伝えるか」

 以上、一般市民がリスク情報を利用し、自らの健康問題や環境問題を、自らの考えで判断するための心得を述べてきました。 繰り返しになりますが、今後こういった問題について、一般市民の発言権はますます大きくなります。 「素人だから」と臆する必要はどこにもありません。知りたいことを、関係組織なり団体なりに積極的に尋ねてください。 そして、自分の判断や関心事を積極的に伝えてみてください。そのプロセスの中であなた自身の判断も形成されていくでしょうし、 社会的な意思決定にあなたの意見が反映されることにもつながるでしょう。

 リスク・コミュニケーションとは、環境リスクや健康リスクについて、関係者間で双方向的に情報や意見をやりとりすることです。 一般の人々がどういった点を懸念しているのか、リスクをどのように認識しているのか、ということは、 専門家による統計的なリスク分析では考慮されないことが多いものです。 そういった、懸念や不満を表現し、行政や企業がどう対応するか問いかけましょう。 そうすることで、あなたの健康や安全の保証はもちろんのこと、行政や企業にとってもよりよいリスク管理ができるようになるのです。



住民の苦情からリスクを発見!…米国ニューヨーク州ラブ・カナルの例


参考文献:
東京海上火災保険株式会社「アメリカ編その30 スーパーファンドの20年」TALISMAN別冊,2001年5月。



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