リスクを高く感じる要因

 一般的な認知バイアスの他に、対象のもつ特性によって私たちのリスク認知が変化することが知られています。

1 自発的なリスクか非自発的なリスクか

自分で選んだリスクは相対的に低く、他から強制されたリスクは相対的に高く感じます。

2 個人でコントロールできるか

コントロールできない災害のリスクは高く、コントロールできる災害のリスクは低く感じます。

3 被害は公平か

特定の人々に対するリスクは高く、一般的なリスクは低く感じます。

4 災害の範囲は広いか

広い範囲に被害を及ぼすリスクは高く、狭い範囲のリスクは低く感じます。

5 一度に多くの被害者が出るか

一度に多くの被害者が出る航空機事故のリスクは高く、被害者の少ない自動車事故のリスクは低く感じます。

6 死につながるものか

死者が出るリスクは、けがや病気のリスクより高く感じます。

7 滅多に発生しないものか

滅多に発生しないものは(報道量も多いので)リスクを高く感じます。
→ 利用可能性ヒューリスティックス

8 次の世代、将来世代への影響があるか

子供への影響は大人一般への影響よりリスクを高く感じます。

9 進行過程が見えやすいか

何が起こっているかがわからない場合、よくわかる場合よりもリスクを高く感じます。

10 よく知られたものか

馴染みのないリスクは馴染みのあるリスクより高く感じます。

11 人為的か自然か

人工放射線のリスクは自然放射線のリスクより高く感じます。

12 新しいリスクか

新しいリスクは古いリスクより高く感じます。


 さて、これらの要因は、個々に私たちのリスク認知を左右しているというより、私たちがリスクを考えるときの評価軸を示しています。 そして、様々な心理学研究は、私たちが大きく2つの視点からリスクを評価していることを示しています。
(→ リスク認知の2つの次元)




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